投稿日時:2020/01/05
明けましておめでとうございます!
年末年始はゆっくり過ごせたので、今年も元気にやっていきたいと思います。
さて、今回は、「Endometrial CD138 count appears to be a negative prognostic indicator for patients who have experienced previous embryo transfer failure」という論文をご紹介します。
内容は、近年、着床障害との関係が注目されている慢性子宮内膜炎についてです。
慢性子宮内膜炎とは、細菌感染等による子宮内膜間質への形質細胞(CD138陽性細胞)の浸潤を特徴とした疾患です。
論文の中では、二度の良好胚胚移植で妊娠に至らず着床障害が疑われる患者141人を対象に、子宮内膜組織を採取し、CD138陽性細胞の有無とその後の凍結融解胚移植の妊娠率を調べています。
141人の患者のうち44人(約31.2%)がCD138陽性となり、CD138陽性細胞の数は0~33個の範囲でした。CD138陰性だった患者の臨床妊娠率および着床率(それぞれ80.0%および64.9%)は、CD138 陽性の患者の臨床妊娠率および着床率(それぞれ52.7%および46.8%)よりも統計的に有意に高くなりました。また、CD138陽性細胞の数が多いほど妊娠率が低くなる傾向があるという結果となっています。
移植を繰り返しても妊娠に至らない原因の一つである慢性子宮内膜炎の検査は当院でも行っており、陽性細胞を認めた場合は、抗菌薬服用後に効果判定を行なっていきます。
検査時期や注意点などもございますので、ご興味のある方はお気軽にご相談くださいませ。