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精子DNA損傷による妊娠への影響

投稿日時:2021/07/09

こんにちは、培養室です!
梅雨時期のため仕方がありませんが、雨が続いていて憂鬱になってしまいますね・・。
気分を上げるために、今日はお昼ご飯にデザートを追加してみました!
早く梅雨が明けてくれると良いですね。

さて、今回は久しぶりに論文のご紹介です。
「 Oocyte ability to repair sperm DNA fragmentation: the impact of maternal age on intracytoplasmic sperm injection outcomes 」

内容はさまざまな年齢層の女性における生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の臨床転帰に対する精子DNA断片化(SDF)の影響についてです。

精子のDNA損傷している割合が高いと受精卵の発育や、妊娠率に影響があることが報告されていますが、卵子にはDNA修復機能があり、損傷したDNAを修復することが知られています。

母体の年齢によって精子DNA断片化がどのように影響しているかを調べるために、
卵細胞質内精子注入法(ICSI)周期で治療している540組のカップルを対象として、女性年齢を36歳以下(n = 285)、37~40歳(n = 147)、41歳以上(n = 108)のグループに分け、さらに精子DNA断片化(SDF)率が30%以下の低断片化群と30%以上の高断片化群に分けて胚発生率、着床率、流産率を比較しています。

結果は、36歳以下、37~40歳のグループではSDF率によって胚発生率、着床率、流産率に有意な差は見られませんでした。しかし、41歳以上になると、低断片化群と比較して高断片化群では、培養3日目の良好分割胚率(54.4%対33.1%),および胚盤胞発生率(49.6%対30.2%)、妊娠率(20.0%対7.7%)、着床率(19.7%対11.9%)が有意に低下し、流産率(12.5%対100.0%)が有意に上昇しました。

このことから、年齢の上昇によって卵子が老化すると、卵子のDNA修復機能も低下することが示唆されました。

受精卵にDNA修復機能があるとしても、個人差があったり、年齢の上昇によって修復機能が低下することを考えると、精子のDNA損傷が少ないに越したことはありません。当院でも、精子DNA損傷・抗酸化力検査を実施していますので、検査の詳細や、ご予約を希望される方は医師、またはスタッフまでお声掛け下さい。

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