投稿日時:2020/10/13
こんにちは。培養室です。
寒くなったなと思ったら、夏のような温かさでびっくりしました!
急な気温の変化で体調を崩さないように気をつけたいですね。
さて、今日も論文をご紹介していきます。
『Elusive effect of endometrial thickness: through thick and thin』
というタイトルの論文で、人工授精(子宮内精子注入法)を行う際の排卵誘発によって子宮内膜への影響について検討しています。
一般的に人工授精周期ではクロミフェンやレトロゾール、ゴナドトロピンなどの排卵誘発剤を使用することで、卵胞の発育を促したほうが、妊娠率は高くなります。しかし、クロミフェンは蓄積作用があり、長く服用すると排卵期に子宮内膜が薄くなり、着床に不都合な状態になることがあります。卵巣刺激に使用される薬剤に関係なく、子宮内膜の厚さは、人工授精の実施またはキャンセルする際の決定要因として使用されてきました。
研究では、やはりクロミフェンを使用した群ではレトロゾール、ゴナドトロピンを使用した群よりも子宮内膜の平均の厚さが薄くなりました。また、妊娠した女性は、妊娠しなかった女性よりも平均して子宮内膜が厚い傾向がありましたが、統計的に有意ではなかったということです。そのため、子宮内膜の厚さが治療成功の主要な決定要因ではない可能性があることを示唆しており、子宮内膜がたとえ薄くても、内膜の厚さだけをみて治療をキャンセルすべきではないと指摘しています。
人工授精をする際に子宮内膜の厚さを気にされる方もいらっしゃると思いますが、
心配なときは医師にご相談ください!