投稿日時:2021/03/10
こんにちは、培養部です。
この頃は、寒い日と暖かい日が続いて、体調管理も大変な季節ですね。
今回は、受精した卵子(胚)が、どのように母体側の子宮内膜に着床するのか、
そのメカニズムについて考察された論文のご紹介です。
「High-quality human preimplantation embryos stimulate endometrial stromal cell migration viasecretion of microRNAhsa-miR-320a 」
(高品質のヒト着床前胚は、マイクロRNAのmR-320aの分泌を介して、子宮内膜間質細胞の働きを促進する。)
こちらは2020年に医学誌に載せられたオランダの論文で、
ヒトの着床前の胚は、胚側から子宮内膜にシグナル物質を出していて、
自らが着床できるように子宮内膜を促進しているとういう内容です。
また、別の論文でもこれとは逆に、胚が着床する子宮内膜側でも、
内膜が機能的に変化した膜になり、胚を受け入れる準備がされ、
胚の質が良好なものか否かの認識する能力も備わっているといわれています。
胚と子宮内膜との相互のやり取りがあってはじめて胚の着床が成功するということです。
こういった様々な研究が、胚の着床不全などの解決につながっていくのだと思いますが、
まだまだ生命科学の分野は未知なことだらけです。