Q19
A:
正常な受精では卵子の中に精子が1匹だけ侵入するのですが、精子が2匹以上侵入してしまった状態です。染色体の数が通常より多くなっていて正常な胚ではないため、胚移植をすることは出来ません。
ここで、その状態と原因について詳しく説明させて頂きます。卵子と精子が出会って受精をすると、卵の中に「前核」というものが見えるようになります。通常は卵子由来の核が1つと、精子由来の核が1つ、合計2つの前核が出来るのですが、この前核が3つ以上できてしまうことがあります。これが「多核の受精卵」で、多精子受精もこれの1つです。
多核になってしまう理由は2つ考えられます。
まずは、卵の中に2つの精子が侵入した場合で、多精子受精と呼ばれています。通常、卵は最初の1匹の精子が侵入した瞬間にそれ以上他の精子を侵入させないように膜を変化させます。しかし、卵によっては これがうまくいかないことがあり、精子がたくさん侵入してしまうため多核になってしまいます。
これは、受精の方法を顕微授精にすることで回避することができます。
次に、卵子の第2減数分裂がうまくいかなかった場合です。そうすると、卵が2つ分の核を持って出てきてしまいます。そこへ精子が侵入することで、精子由来の核も1つ作られるので、合計3個の核が出来てしまうのです。顕微授精なのに核が3つできてしまった場合のほとんどがこの理由です。