投稿日時:2020/01/17
2020年1月6日から東京都が不育症検査を実施された方の助成金申請の受付を開始しました。
そこで今回の生殖医療相談士通信は、不育症について簡単にご説明したいと思います。
※不育症がテーマですので、下記のレポートの中に流産・死産等のワードが頻繁に出てまいります。
ご覧頂いて気分を害してしまう可能性がある方や、過去から現在にかけてそのような事象で心を痛めていらっしゃる方などは、ご覧いただく前にご注意いただけたらと思います。。。
そもそも不育症とは・・・
『妊娠はするものの2回以上の流産や死産、早期新生児死亡などを繰り返し、結果的に生児を得られない状態のこと』
と定義されています。
流産:妊娠22週未満の胎児が母体から娩出(べんしゅつ)されること
・流産を2回以上繰り返す→『反復流産』
・3回以上連続して流産する→『習慣流産』
死産:妊娠22週以降に死亡した胎児を出産
早期新生児死亡:出生から生後1週間未満に新生児が死亡
<不育症のリスク因子と頻度>
以下の4つが代表的なリスク因子ですが、他にも研究段階のものが多く報告されています。
1.子宮形態異常(子宮の形が通常と異なるもの)
2.内分泌異常(甲状腺などのホルモンの分泌状態が通常と異なるもの)
3.夫婦染色体異常(夫婦のどちらか、または両方の染色体の構造に異常があるもの)
4.凝固異常(血液の固まりやすさが正常と異なるもの;抗リン脂質抗体陽性、第XⅡ因子欠乏、プロテインS欠乏、プロテインC欠乏)
流産は全妊娠の10~20%に起こるとされています。
その大半が胎児の染色体異常によるものだといわれています。
(厚生労働省研究班 Fuiku-Labo http://fuiku.jp/fuiku/より引用)
<不育症の検査>
不育症の検査のほとんどが採血によるものです。
子宮形態異常は、超音波検査や、子宮卵管造影、子宮鏡、MRIなどで検査します。
<不育症の治療>
1、子宮形態異常
特に症状がないため、一般的には治療は不要だが、不育症の場合、状態によっては手術を必要とすることもあります。
2、内分泌異常
内科と連携しながら、薬物療法や食事療法などの治療を行います。
ある程度病気のコントロールがついてからの妊娠が望ましいとされています。
3、夫婦染色体異常
染色体異常については根本的な治療はありません。
遺伝カウンセリングを充分行い対処していくことをお勧めいたします。
着床前診断という選択肢もありますが、こちらに関しても、あらゆる面で充分な検討が必要となるでしょう。
4、凝固異常
妊娠中の血栓リスクが高くなるため血栓を形成しにくくする薬物である低用量アスピリンとヘパリンの併用療法が有用とされています。
<最後に・・・>
流産や死産を繰り返すことは、赤ちゃんを望まれる方にとって本当に辛い出来事です。
検査をしてみて何か分かることもあるかもしれません。
東京都も助成金事業を開始いたしまして、高額になりがちな検査費用も助成されます(夫婦1組につき1回、5万円を上限に助成)ので、流産・死産を繰り返されている方、不育症かも?と心配されている方、一度、検査を受けられてみてはいかがでしょうか。
当院でも検査は可能ですので、不妊治療と同時に不育症検査ご希望の方は是非お申し出下さい。
※不育症の治療が必要な場合、専門医療機関にご紹介になる場合があります。
わからない事があれば、相談士やスタッフにお声掛けくださいね♪
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